動都研究会
研究会趣旨


 戦後のわが国の公共交通は、大きな変遷を経てきた。大都市交通に関しては、大手私鉄会社が大きな役割を果たし、旧国鉄は輸送構造変化や合理化の遅れから大きな赤字と過大な債務を抱え、1987年分割民営化がなされた。この間、旧国鉄時代には新幹線開通や高架化により、都市中心部に広大な遊休地が生まれ、これの活用により都市が大きく変貌した。また、国鉄民営化に伴い、清算事業団の遊休用地の処分も都市に大きな影響を与えた。

 また、鉄道と併せて、航空、港湾、バス、高速道路、等の交通機関が整備され地域交通はわが国の経済成長や地域活性化のためにも大きな要素となった。また、過疎地域における交通手段として民間経営のバス・タクシー会社が需要な役割を担い、特に定期バスにおいては、一定のNational Minimumとして手厚い補助金の下で地域の住民の足が確保された。

 国土計画についても、交通は大きな意義を持ち、新全総においては基幹的全国交通網整備(鉄道、道路、港湾、空港)が計画され、社会資本投資ABC論が展開され、四全総においても、「交流」のコンセプトの中、一日交通圏が大きなテーマとなった 。

 しかし、2000年代以降地域公共交通は、国鉄民営化スキームを巡る情勢変化による見直し論の浮上、高齢化のさらなる進展による過疎地域の公共交通としてのスキームの実質破綻・見直し等の新たな課題が現出してきている。これら事象に対して、政府・自治体は、2007年「地域公共交通活性化再生法」に続いて、2014年及び2020年の同法改正により、地方交通の再編、地域社会における公共交通の位置づけの明確化、構造改革特区法における福祉タクシー等の住民による地域交通運営、コミュニティバス、デマンドバス等の新たなスキームの地域公共交通、更にはMaas等の情報化を活用した様々な交通スキームを実施に移しつつある。

 しかし、地方公共交通を取り巻く環境はさらに厳しいものがあり、今後の地方創生、高齢化社会への対等々のカギとなっている。本研究会は、公共交通の大きな流れと制度の変遷、今後の在り方に焦点を絞って調査研究を行うものである。

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