平成27年度事業計画

1.基本的視点

東北大震災復興が進められる中、アベノミクスを柱とする安倍政権下での新たな経済成長戦略が策定、実施されつつある。この中で、都市と地域を取り巻く環境は、来たるべき関東、東海、東南海、南海地震に対する国土強靭化政策の推進、国家戦略特区政策の推進、少子高齢化の更なる進展、地域創生事業の実施等により、大きな変化を示しつつある。

本財団は、人類社会の発展を「都市化」の過程としてとらえ、この認識のもとに日本経済社会の長期展望並びに地域別、問題別の調査研究を行うことを目的としているが、平成27年度においては、当財団のこれまでの研究や社会資本整備等の業績を発展的に展開していくことを念頭に置きつつ、「国土計画に関する研究」「社会資本整備に関する研究」「都市化の進展に伴い発生する社会現象に関する研究」「都市および地域の経済動向分析」「都市・地域の再生に関する具体的な個別事象に関する研究」の5つを柱として、経済社会現象の変化に応じた具体的な研究テーマを設定し、調査研究を行い、その成果を社会に情報公開していくこととする。

2.調査研究活動

()国土計画に関する研究

 これまでの国土計画に関する研究成果を踏まえて、今後のわが国の国土計画のあり方、道州制問題、農地の環境変化が国土に及ぼす影響等に関する研究及び提言を行っていく。国土強靭化政策に関しても政策目標、事業方式、経済効果等を検証していくとともに、個別具体的な強靭化事業の提言も行うこととする。

()社会資本整備に関する研究

社会資本が整備から利用へと重点が移行しつつあるとの認識の下に、長期的なわが国社会資本整備の推移について調査研究するとともに、地域社会資本や既存社会資本の再整備等、時代の変化によって必要となる新たな社会資本整備についても、事業動向、方式等を研究していく。また、会計法等の公共調達体系の見直しについて継続的に研究するとともに、地域創生型PFI/PPP方式等新たな公共調達方式についても、調査研究及び提言を行う。

()都市化の進展に伴い発生する社会現象に関する研究

都市化の進展及びその影の部分としての過疎化に伴い発生する様々な社会現象を取り上げ、これを分析しかつ将来方向を提示していく。継続研究の「高齢化社会に関する研究」「都市化の進展と農業」「中心市街地の空き地空き家」を引き続き調査研究していくことに加え、社会経済の変化による都市化・過疎化に伴う諸事象を採り上げて研究を行い、その成果を情報公開する。

()都市および地域の経済動向分析

 当財団が蓄積している「地域データベース」を活用して数量解析により都市・地域の経済動向分析を行う。具体的には「地域経済力規定要因」「地域経済振興のための条件検証」「地域社会資本データ整備」を行うとともに、個別都市の再生条件の調査研究を行う。地域データベースのメンテナンスに加え、収録データの拡充などを行っていく。

 ()都市・地域の再生に関する具体的な個別事象に関する研究

 全国ベースの国土計画と並行して、個別地域における都市・地域振興または再生の動向について現地訪問を行い、地域創生に資するよう、提言を行うこととする。特に、官民協働方式、住民主導型第三セクター方式、地域社会資本整備等これまでの研究実績を踏まえて事業スケルトンに着目して調査研究を行う。併せて、国家戦略特区指定地域等、特定地域に対する地域振興アドバイスも行う。

3.社会への情報開示

 財団の経営方針、研究状況、経営状況等について、ホームページ等を活用して広く社会に情報開示を行う。研究成果はホームページ及び一定期間毎(23年程度)の出版により広く公開する。また、財団で構築した「地域データベース」その他も同様に情報公開していく。